令和7年12月26日官報(号外)第285号

本日は、令和7年(2025年)12月26日発行の官報号外第285号から、国民生活やビジネスに直結する重要な法改正情報を厳選してお届けします。 今回は、刑事手続の全面デジタル化に向けた最高裁規則の大改正、洋上風力発電のEEZ(排他的経済水域)拡大に向けた政令、漁業災害補償の対象拡大、そして道路占用料の改定など、多岐にわたる分野での制度変更が公布されています。特に司法のIT化は、明治以来の「紙」文化からの脱却を意味する歴史的な転換点となります。

刑事手続のデジタル化・IT化に伴う規則の抜本改正

刑事訴訟手続において、従来の「書面」中心の運用から、「電磁的記録(デジタルデータ)」を用いた運用へ移行するための大規模な規則改正が行われました。これにより、令状の電子発付や記録の電子閲覧が可能となります。

【根拠法令】

官報19頁~35頁、最高裁判所規則第17号「刑事訴訟規則等の一部を改正する規則」

【変更点】

刑事訴訟規則の広範囲にわたり、以下の用語や手続きが変更されました。

  • 用語の追加・変更: 「調書」に加え「記録媒体」や「電磁的記録」という文言が各条文に追加されました。例えば、「調書を作らなければならない」という規定が、電磁的記録の作成も含む形に読み替えられます。
  • 令状のデジタル化: 逮捕状、差押状、捜索状などの令状について、電子的な発付・執行に関する規定が整備されました。「差押状又は捜索状の呈示」に加え、電子的な令状情報の提示に関する規定が設けられています。
  • 署名・押印の特例: 従来「署名押印」を求めていた箇所について、電子手続においては電子署名やそれに代わる措置(氏名の記録等)で足りるよう規定が整備されました。
  • 証人尋問のデジタル対応: 証人尋問調書の作成において、録音・録画等の記録媒体を用いる場合の手続きが詳細化されました。

【ポイント】

これは、令和時代における「司法のIT化」の中核をなす改正です。これまでは紙の書類にハンコを押す文化が基本でしたが、今後は警察・検察と裁判所の間でオンラインでの令状請求や証拠のやり取りが可能になります。国民にとっては、裁判手続きの迅速化や、将来的なオンライン閲覧への布石となる重要なインフラ整備と言えます。

洋上風力発電のEEZ(排他的経済水域)への拡大

再生可能エネルギーの主力電源化に向け、洋上風力発電設備の設置海域を領海内だけでなく排他的経済水域(EEZ)にまで拡大するための法律の施行日が決定し、関係政令が整備されました。

【根拠法令】

官報1頁・17頁~18頁、政令第447号・第448号「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」ほか

【変更点】

施行日: 改正法の施行期日は令和8年(2026年)4月1日と定められました。

政令の名称変更: 従来の「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律施行令」から、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に関する法律施行令」へと題名が改正されました。

対象区域の拡大: 「促進区域」等の定義において、領海に加えEEZ(排他的経済水域)が含まれるよう規定が整備され、国際法(国連海洋法条約)との整合性を図るための「人工島、施設及び構築物」に関する定義が反映されました。

【ポイント】

日本は国土が狭く、領海内だけでは風力発電の適地が限られていました。今回の改正施行により、広大なEEZを活用できるようになり、大規模な洋上風力発電所の建設が可能になります。これは日本のエネルギー自給率向上と脱炭素化に向けた大きな一歩です。

漁業災害補償の対象拡大(陸上養殖ヒラメ等)

漁業経営の安定を図るための保険制度(漁業共済)において、近年の養殖技術の多様化に対応し、補償対象となる養殖業の種類が追加・細分化されました。

【根拠法令】

官報1頁・6頁~17頁、政令第445号・第446号「漁業災害補償法施行令の一部を改正する政令」ほか

【変更点】

対象養殖業の追加・細分化: 別表等が改正され、以下の養殖業区分が整理・追加されました。

  • ひらめ陸上養殖業: 新たに「ひらめ陸上養殖業」が明記され、陸上の水槽で養殖されるヒラメも共済の対象として明確化されました。
  • 詳細な区分設定: 「小割り式一年魚はまち養殖業」「小割り式三年魚たい養殖業」など、魚種と養殖期間(1年魚、2年魚など)に応じた細かい区分が設定され、実態に即した補償が可能になりました。
  • 具体的数値の明記: 例えば「くるまえび養殖業」における養殖池の「二十五面」といった規模要件や、共済限度額算出のための詳細な係数が設定されています。

【ポイント】

「陸上養殖」は、海洋環境の変化を受けにくく安定供給が可能な次世代の漁業として注目されています。今回、陸上でのヒラメ養殖が制度的に明確に位置づけられたことで、事業者の参入や経営安定が促進されることが期待されます。

道路占用料の改定

道路に電柱や管路、看板などを設置する際に支払う「道路占用料」の算定基準が見直されました。

【根拠法令】

官報1頁・4頁~6頁、政令第444号「道路法施行令の一部を改正する政令」

【変更点】

別表(第十九条関係)が全面的に改定されました。 具体的な金額等の係数(A×〇〇等)が詳細に変更されています。

  • 電柱・電話柱: 級地(土地の価格帯)ごとに単価が改定されています。第一級地から第五級地までの区分に応じて、占用料が定められています。
  • 地下電線・管路: 外径の大きさ(0.07メートル未満など)に応じた区分で料金が設定されています。
  • 看板・広告塔: 「看板、標識、旗ざお」などの占用料についても、面積や個数に応じた料率が見直されています。

【ポイント】

道路占用料は定期的に地価や物価変動に合わせて見直されます。電力会社や通信会社、看板を設置している店舗などの経費に影響を与える変更です。

経済安全保障・サプライチェーン強靭化

「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(経済安全保障推進法)」に基づき、供給確保計画の認定や支援法人の業務に関する詳細なルールが定められました。

【根拠法令】

官報47頁、内閣府・厚生労働省・経済産業省命令第1号「安定供給確保支援法人に関する命令」

官報73頁、厚生労働省・経済産業省令第1号「供給確保計画の認定等に関する省令」

【変更点】

安定供給確保支援法人: 特定重要物資の安定供給を支援する法人の指定要件や業務内容(助成金の交付、利子補給金の支給など)が規定されました。申請書様式や、役員の選任・解任に関する届出ルールが整備されています。

供給確保計画の認定: 事業者が国から支援を受けるために提出する「供給確保計画」の申請様式(様式第一)や、添付書類(定款、決算書、サプライチェーンを含む供給能力確保計画など)が詳細に定められました。

【ポイント】

半導体や医薬品など、国民生活に不可欠な物資の供給途絶を防ぐための実務的な枠組みが完成しました。企業は、このルールに従って計画を提出し認定を受けることで、国からの助成や金融支援を受けられるようになります。

脱炭素(GX)関連・JCM(二国間クレジット)制度

地球温暖化対策推進法に基づき、国際的な排出削減量(クレジット)の取り扱いや、指定実施機関の業務に関する規定が整備されました。

【根拠法令】

官報87頁、農林水産省・経済産業省・環境省令第3号「国際協力排出削減量の記録等に関する省令の一部を改正する省令」

官報89頁、環境省令等「指定実施機関に関する省令の一部改正」

【変更点】

JCM(二国間クレジット制度)の整備: パリ協定に基づく国際的な炭素市場のルール(6条)に対応するため、国際協力排出削減量の記録簿(口座簿)の運営や、削減量の移転・無効化などの手続きが改正されました。「割当量口座簿」に関する旧省令は廃止され、新制度へ移行します。

【ポイント】

日本企業が海外で省エネ技術などを導入して削減したCO2を、日本の削減目標達成に活用するための仕組み(JCM)のインフラ整備です。企業の脱炭素経営における選択肢に関わる専門的ながら重要な変更です。

x

本日は、令和7年(2025年)12月26日発行の官報号外第285号から、国民生活やビジネスに直結する重要な法改正情報を厳選してお届けします。 今回は、刑事手続の全面デジタル化に向けた最高裁規則の大改正、洋上風力発電のEEZ(排他的経済水域)拡大に向けた政令、漁業災害補償の対象拡大、そして道路占用料の改定など、多岐にわたる分野での制度変更が公布されています。特に司法のIT化は、明治以来の「紙」文化からの脱却を意味する歴史的な転換点となります。

刑事手続のデジタル化・IT化に伴う規則の抜本改正

刑事訴訟手続において、従来の「書面」中心の運用から、「電磁的記録(デジタルデータ)」を用いた運用へ移行するための大規模な規則改正が行われました。これにより、令状の電子発付や記録の電子閲覧が可能となります。

【根拠法令】

官報19頁~35頁、最高裁判所規則第17号「刑事訴訟規則等の一部を改正する規則」

【変更点】

刑事訴訟規則の広範囲にわたり、以下の用語や手続きが変更されました。

  • 用語の追加・変更: 「調書」に加え「記録媒体」や「電磁的記録」という文言が各条文に追加されました。例えば、「調書を作らなければならない」という規定が、電磁的記録の作成も含む形に読み替えられます。
  • 令状のデジタル化: 逮捕状、差押状、捜索状などの令状について、電子的な発付・執行に関する規定が整備されました。「差押状又は捜索状の呈示」に加え、電子的な令状情報の提示に関する規定が設けられています。
  • 署名・押印の特例: 従来「署名押印」を求めていた箇所について、電子手続においては電子署名やそれに代わる措置(氏名の記録等)で足りるよう規定が整備されました。
  • 証人尋問のデジタル対応: 証人尋問調書の作成において、録音・録画等の記録媒体を用いる場合の手続きが詳細化されました。

【ポイント】

これは、令和時代における「司法のIT化」の中核をなす改正です。これまでは紙の書類にハンコを押す文化が基本でしたが、今後は警察・検察と裁判所の間でオンラインでの令状請求や証拠のやり取りが可能になります。国民にとっては、裁判手続きの迅速化や、将来的なオンライン閲覧への布石となる重要なインフラ整備と言えます。

洋上風力発電のEEZ(排他的経済水域)への拡大

再生可能エネルギーの主力電源化に向け、洋上風力発電設備の設置海域を領海内だけでなく排他的経済水域(EEZ)にまで拡大するための法律の施行日が決定し、関係政令が整備されました。

【根拠法令】

官報1頁・17頁~18頁、政令第447号・第448号「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」ほか

【変更点】

施行日: 改正法の施行期日は令和8年(2026年)4月1日と定められました。

政令の名称変更: 従来の「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律施行令」から、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に関する法律施行令」へと題名が改正されました。

対象区域の拡大: 「促進区域」等の定義において、領海に加えEEZ(排他的経済水域)が含まれるよう規定が整備され、国際法(国連海洋法条約)との整合性を図るための「人工島、施設及び構築物」に関する定義が反映されました。

【ポイント】

日本は国土が狭く、領海内だけでは風力発電の適地が限られていました。今回の改正施行により、広大なEEZを活用できるようになり、大規模な洋上風力発電所の建設が可能になります。これは日本のエネルギー自給率向上と脱炭素化に向けた大きな一歩です。

漁業災害補償の対象拡大(陸上養殖ヒラメ等)

漁業経営の安定を図るための保険制度(漁業共済)において、近年の養殖技術の多様化に対応し、補償対象となる養殖業の種類が追加・細分化されました。

【根拠法令】

官報1頁・6頁~17頁、政令第445号・第446号「漁業災害補償法施行令の一部を改正する政令」ほか

【変更点】

対象養殖業の追加・細分化: 別表等が改正され、以下の養殖業区分が整理・追加されました。

  • ひらめ陸上養殖業: 新たに「ひらめ陸上養殖業」が明記され、陸上の水槽で養殖されるヒラメも共済の対象として明確化されました。
  • 詳細な区分設定: 「小割り式一年魚はまち養殖業」「小割り式三年魚たい養殖業」など、魚種と養殖期間(1年魚、2年魚など)に応じた細かい区分が設定され、実態に即した補償が可能になりました。
  • 具体的数値の明記: 例えば「くるまえび養殖業」における養殖池の「二十五面」といった規模要件や、共済限度額算出のための詳細な係数が設定されています。

【ポイント】

「陸上養殖」は、海洋環境の変化を受けにくく安定供給が可能な次世代の漁業として注目されています。今回、陸上でのヒラメ養殖が制度的に明確に位置づけられたことで、事業者の参入や経営安定が促進されることが期待されます。

道路占用料の改定

道路に電柱や管路、看板などを設置する際に支払う「道路占用料」の算定基準が見直されました。

【根拠法令】

官報1頁・4頁~6頁、政令第444号「道路法施行令の一部を改正する政令」

【変更点】

別表(第十九条関係)が全面的に改定されました。 具体的な金額等の係数(A×〇〇等)が詳細に変更されています。

  • 電柱・電話柱: 級地(土地の価格帯)ごとに単価が改定されています。第一級地から第五級地までの区分に応じて、占用料が定められています。
  • 地下電線・管路: 外径の大きさ(0.07メートル未満など)に応じた区分で料金が設定されています。
  • 看板・広告塔: 「看板、標識、旗ざお」などの占用料についても、面積や個数に応じた料率が見直されています。

【ポイント】

道路占用料は定期的に地価や物価変動に合わせて見直されます。電力会社や通信会社、看板を設置している店舗などの経費に影響を与える変更です。

経済安全保障・サプライチェーン強靭化

「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(経済安全保障推進法)」に基づき、供給確保計画の認定や支援法人の業務に関する詳細なルールが定められました。

【根拠法令】

官報47頁、内閣府・厚生労働省・経済産業省命令第1号「安定供給確保支援法人に関する命令」

官報73頁、厚生労働省・経済産業省令第1号「供給確保計画の認定等に関する省令」

【変更点】

安定供給確保支援法人: 特定重要物資の安定供給を支援する法人の指定要件や業務内容(助成金の交付、利子補給金の支給など)が規定されました。申請書様式や、役員の選任・解任に関する届出ルールが整備されています。

供給確保計画の認定: 事業者が国から支援を受けるために提出する「供給確保計画」の申請様式(様式第一)や、添付書類(定款、決算書、サプライチェーンを含む供給能力確保計画など)が詳細に定められました。

【ポイント】

半導体や医薬品など、国民生活に不可欠な物資の供給途絶を防ぐための実務的な枠組みが完成しました。企業は、このルールに従って計画を提出し認定を受けることで、国からの助成や金融支援を受けられるようになります。

脱炭素(GX)関連・JCM(二国間クレジット)制度

地球温暖化対策推進法に基づき、国際的な排出削減量(クレジット)の取り扱いや、指定実施機関の業務に関する規定が整備されました。

【根拠法令】

官報87頁、農林水産省・経済産業省・環境省令第3号「国際協力排出削減量の記録等に関する省令の一部を改正する省令」官報89頁、環境省令等「指定実施機関に関する省令の一部改正」

【変更点】

JCM(二国間クレジット制度)の整備: パリ協定に基づく国際的な炭素市場のルール(6条)に対応するため、国際協力排出削減量の記録簿(口座簿)の運営や、削減量の移転・無効化などの手続きが改正されました。「割当量口座簿」に関する旧省令は廃止され、新制度へ移行します。

【ポイント】

日本企業が海外で省エネ技術などを導入して削減したCO2を、日本の削減目標達成に活用するための仕組み(JCM)のインフラ整備です。企業の脱炭素経営における選択肢に関わる専門的ながら重要な変更です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました