令和8年1月20日官報号外では、労働安全衛生法および作業環境測定法の改正に伴う大規模な省令整備が行われ、規制対象が「労働者」から「作業に従事する者」へと拡大され、一人親方等への安全確保措置が強化されました 。また、賃金立替払請求の電子化対応 、不正競争防止法に基づくエチオピア国旗の追加 、海上保安庁の巡視船名の変更 、さらに新制度「企業価値担保権」の実行時における労働者保護を目的とした指針の改正が公布されています 。
[1] 労働安全衛生法改正に伴う関係省令の抜本的な整備(一人親方等の保護拡大)
【概要】
「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)」の一部の施行に伴い、労働安全衛生規則、じん肺法施行規則、酸素欠乏症等防止規則などの関係省令が改修されました 。最大の特徴は、従来の「労働者」を対象とした規制を、雇用関係にない一人親方等を含む「作業に従事する者」全体へと広げた点にあります 。
【根拠法令・ソース】
官報2ページ(厚生労働省令 第3号)
【変更点】
- 規制対象の拡大:ボイラー、クレーン、デリック等の特定機械の作業、または酸素欠乏危険場所や高圧室内作業において、労働者以外の請負人(作業に従事する者)に対しても、立ち入り禁止、避難指示、安全確保の措置を講じることが義務化されました 。
- 設計審査制度の移行:「登録製造時等検査機関」が「登録設計審査等機関」に改められ、特定機械の製造許可前に設計審査を行う事務手続きが整備されました 。
- 公示方法のデジタル化:厚生労働大臣が行う登録機関等の公示について、従来の官報公告から「インターネットの利用その他の適切な方法」へと変更されました 。
【生活への影響・ポイント】
建設現場や工場で作業する「全ての個人」の安全が、元請けや事業主によって守られるべき対象として明確化されました 。一人親方として活動する方にとっては、現場での安全指示や保護具の周知がより徹底されることになります 。
[2] 賃金の支払の確保等に関する法律施行規則の一部改正(電子申請の利便性向上)
【概要】
未払賃金の立替払制度における手続きが改正され、社会保険労務士による電子申請時の契約証明方法の明確化や、氏名記載の電磁的記録による代行が認められました 。
【根拠法令・ソース】
官報153ページ(厚生労働省令 第4号)
【変更点】
- 電子署名の代替:電子情報処理組織を使用して請求書を提出する場合、請求者の氏名の記載を、法に基づいた電磁的記録(電子署名等)で代えることが可能になりました 。
- 添付書類の省略:独立行政法人労働者健康安全機構が処分を行う上で必要がないと認める場合には、裁判所等の証明書の添付を不要とする例外規定が設けられました 。
【生活への影響・ポイント】
会社倒産等に伴う賃金の立替払請求手続きがオンラインで完結しやすくなり、迅速な救済が期待できます 。
[3] 不正競争防止法に基づく外国旗・国際機関標章の指定更新
【概要】
不正競争防止法に基づき、商業利用が禁止される外国の国旗、紋章、国際機関の標章が追加・改定されました 。
【根拠法令・ソース】
官報154ページ(経済産業省令 第1号)
【変更点】
- 国旗の追加・更新:別表第一にエチオピア連邦民主共和国の国旗が追加され、モンゴルの国旗図案が更新されました 。
- 英国記章の追加:別表第二の英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)の項に、60から77までの新たな記章が追加されました 。
- イタリア・セルビア貴金属印:別表第三におけるイタリアおよびセルビアの貴金属(金・銀・白金・パラジウム)の証明刻印(ホールマーク)が最新の図案に更新されました 。
【生活への影響・ポイント】
商標登録や商品デザインにおいて、これら指定された外国の国旗や記章を許可なく使用することはできません 。特にアンティークや貴金属の取引を行う際は、イタリア等の新しい証明刻印の形状を確認する基準となります 。
[4] 海上保安庁の船舶の番号及び標識の改定
【概要】
海上保安庁が運用する巡視船および巡視艇の船名と番号の一部が変更・整理されました 。
【根拠法令・ソース】
官報180ページ(海上保安庁告示 第2号)
【変更点】
- 巡視船:PL62「なにわ」が「いしがき」へと変更されました 。
- 巡視艇:CL53「きびかぜ」に対応する旧CL54「なちかぜ」の整理や、CL48「しおかぜ」、CL49「あわかぜ」、CL16「いけかぜ」、CL17「なちかぜ」などの配備状況に基づいた改定が行われました 。
【生活への影響・ポイント】
海上警備や救難活動に従事する船舶の公的な識別情報の変更です 。
[5] 企業価値担保権の実行に伴う事業譲渡等の労働者保護指針
【概要】
新たな融資制度である「企業価値担保権」の導入(事業性融資推進法)に伴い、担保権実行としての事業譲渡や合併が行われる際の労働者保護に関する指針が改正されました 。
【根拠法令・ソース】
官報181ページ(厚生労働省告示 第11号)
【変更点】
- 管財人の情報提供義務:企業価値担保権の実行により選任された管財人は、労働組合等に対し、労働者の権利行使に必要な情報を提供するよう努めるべきことが明記されました 。
- 使用者性の承継:管財人は労働組合法上の使用者の地位を承継し、誠意をもって団体交渉に応じる義務があることが示されました 。
- 雇用の維持が原則:事業譲渡に際しては、事業を解体せず雇用を維持しつつ承継することが原則であり、金額の多寡だけでなく雇用や取引関係を考慮して承継先を選定することが求められます 。
- 金融機関等の責任:特定被担保債権者(金融機関等)が労働条件を実質的に支配している場合、労働組合法上の使用者性を有する可能性がある点に留意が必要とされました 。
【生活への影響・ポイント】
企業が事業全体を担保に融資を受ける新制度下において、経営危機による担保権実行時でも、労働者の雇用継続や団体交渉権が一方的に奪われないよう保護枠組みが強化されました 。
本日の告示解説は以上です。特定の改正内容(特定の機械の安全基準変更など)の詳細についてさらに詳しく知りたい場合は、引き続きお問い合わせください。

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