令和8年1月9日 官報(号外)5号の解説

本日の官報(号外第5号)では、通信インフラのコスト算定ルールの更新、自動車の安全基準の強化、重要文化財の新規指定など、私たちの生活の基盤に関わる重要な決定が数多くなされました。特に、NTT等の接続料算定に用いられる各種係数が全国規模で改定されたほか、アクセルとブレーキの踏み間違い防止装置が小型トラック等の貨物車両にも義務化されるなど、物流現場の安全性を高める施策が目立ちます。また、愛知県豊田市の歴史的な治水施設「今井堤樋貯水板」が重要文化財に指定されるなど、文化財保護の面でも大きな動きがありました。

第一種指定電気通信設備接続料規則の一部を改正する省令

電気通信事業法に基づき、NTT東日本・西日本等の「第一種指定電気通信設備」を持つ事業者が、他の通信事業者から受け取る接続料を算定するための基準数値(資産価額や施設保全費など)が全面的に更新されました。

【根拠法令】

官報1ページ、総務省令第1号。電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第三十三条第四項第二号の規定に基づく改正。

【変更点】

別表第2の2(正味固定資産価額算定に用いる数値)および別表第4の3(費用算定に用いる数値)が改定されました。具体的には、き線管路総延長が118,639kmから120,474kmへ、情報ボックス総延長が8,312kmから8,324kmへ変更されるなど、全国のインフラ実態に合わせた調整が行われました。 また、土地単価時点補正係数が以下の通り各都道府県別に更新されました(改正前 → 改正後)。 北海道(1.0005→0.9805)、青森県(0.6749→0.6730)、岩手県(0.7185→0.7157)、宮城県(1.2376→1.1843)、秋田県(0.6330→0.6288)、山形県(0.7599→0.7578)、福島県(0.8373→0.8297)、茨城県(0.7235→0.7180)、栃木県(0.7205→0.7211)、群馬県(0.7233→0.7243)、埼玉県(0.9424→0.9222)、千葉県(1.0385→0.9890)、東京都(1.2420→1.1575)、神奈川県(1.0258→0.9846)、新潟県(0.7438→0.7478)、富山県(0.8275→0.8267)、石川県(0.8276→0.8193)、福井県(0.7039→0.7026)、山梨県(0.7423→0.7439)、長野県(0.7653→0.7600)、岐阜県(0.7913→0.7909)、静岡県(0.8217→0.8201)、愛知県(1.0997→1.0703)、三重県(0.7865→0.7820)、滋賀県(0.8700→0.8615)、京都府(1.0331→0.9967)、大阪府(1.0043→0.9686)、兵庫県(0.9362→0.9128)、奈良県(0.8321→0.8316)、和歌山県(0.6686→0.6714)、鳥取県(0.6648→0.6669)、島根県(0.7201→0.7229)、岡山県(0.8525→0.8423)、広島県(0.8891→0.8742)、山口県(0.7317→0.7266)、徳島県(0.6281→0.6304)、香川県(0.6853→0.6901)、愛媛県(0.7328→0.7357)、高知県(0.6002→0.6015)、福岡県(1.1865→1.1245)、佐賀県(0.7948→0.7733)、長崎県(0.8116→0.8021)、熊本県(0.9646→0.9316)、大分県(0.8501→0.8313)、宮崎県(0.7947→0.7926)、鹿児島県(0.6855→0.6887)、沖縄県(1.4733→1.3745) さらに、施設保全費(メタルケーブル、加入系・中継系・海底光ケーブル等)についても、全47都道府県において延長1kmあたりの単価が引き上げられています。

【ポイント】

この改正により、将来の通信料金の原価となる「接続料」の算定根拠が最新化されました。全体的に施設保全費が上昇傾向にあるため、特に地方部における通信インフラの維持コスト負担が適正化される狙いがあります。施行日は令和8年4月1日です。

道路運送車両の保安基準等の一部を改正する省令

自動車の安全性を飛躍的に高めるため、ペダルの踏み間違いによる事故を防ぐ装置の設置義務を貨物車両にも拡大し、併せて大型車両の座席基準も強化されました。

【根拠法令】

官報18ページ、国土交通省令第1号。道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第四十一条第一項などの規定に基づく改正。

【変更点】

1. ペダル踏み間違い時加速抑制装置の義務化拡大: 従来は乗車定員10人未満の乗用車が対象でしたが、今回の改正で「車両総重量3.5トン以下の貨物車(バン、小型トラックなど)」も義務化の対象に加えられました。対象はクラッチ操作を必要としないAT車等です。 2. 頭部後傾抑止装置(ヘッドレスト)の基準適用拡大: 車両総重量3.5トンを超える自動車(大型バス・トラックなど)についても、運転者席およびこれと並列の座席に、衝突時に頭部の後傾を有効に抑止できる装置を備えることが義務付けられました。 3. 装置型式指定および手数料の整備: これらの安全装置の普及を促進するため、国際基準に適合した装置の型式指定ルールや、それに関わる審査手数料(保安基準第八条第八項試験:796,000円など)が新設・変更されました。

【ポイント】

近年の配送需要の増大に伴い増加している小型貨物車による「踏み間違い事故」の削減が期待されます。また、大型車両のドライバーを追突事故時の頸部損傷から守るための基準も強化されており、交通安全対策が一段と進展します。施行日は令和8年1月11日(一部規定は令和8年3月31日)です。

自動車騒音の大きさの許容限度の一部を改正する告示

国際的な技術基準の統一に合わせ、自動車および原動機付自転車が発する騒音の測定方法や許容値が最新の国際基準に対応するよう改められました。

【根拠法令】

官報84ページ、環境省告示第2号。大気汚染防止法および騒音規制法に基づく自動車騒音の基準改正。

【変更点】

加速走行騒音および近接排気騒音の測定方法について、国際連合の協定規則(UN R41 第6改訂版など)に準拠した細目規定へ更新されました。対象は、二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、普通・小型・軽自動車(車両総重量3.5トン以下)および原動機付自転車です。特にマフラーの騒音防止性能の判定方法が最新化されています。

【ポイント】

日本国内の騒音規制を国際基準と完全に調和させることで、環境性能の高い車両の普及を後押しし、都市部等での騒音公害の抑制を目指しています。

有形文化財を重要文化財に指定する件

歴史的・文化的に価値が極めて高い建造物が、新たに国の重要文化財として指定されました。

【根拠法令】

官報86ページ、文部科学省告示第1号。文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第二十七条第一項の規定に基づく指定。

【変更点】

愛知県豊田市に所在する「今井堤樋貯水板(いまい堤樋貯水板)」が重要文化財に指定されました。指定の詳細は以下の通りです。 ・名称:今井堤樋貯水板 ・員数:三所(旧堤樋門、製樋、貯水板堤) ・構造形式:石造樋門、石造、折曲り袖壁付 ・所在地:愛知県豊田市今井町三番地、西中金町、広瀬町 ・指定面積:土地 33,333.30平方メートル(山林、宅地、畑、雑種地、地等を含む一帯)

【ポイント】

この施設は明治時代以降、地域の治水と農業を支えてきた堅牢な石造構造物です。今回、その構造そのものだけでなく、周囲の貯水域や堤を含む広大な敷地一帯が「土地」として併せて指定されたことが特徴的であり、当時の優れた土木技術と地域の歴史を今に伝える貴重な遺産です。

砂防法に基づく土地指定および直轄砂防工事の施行

国土の保全と災害防止のため、砂防法に基づき特定の土地が砂防指定地に指定され、国による直接の整備工事が決定しました。

【根拠法令】

官報86〜97ページ、国土交通省告示第10〜28号。砂防法(明治三十年法律第二十九号)第二条の規定に基づく指定。

【変更点】

以下の地域の河川流域における特定の土地が砂防法上の区域として指定されました。 ・石川県輪島市:原田川 ・群馬県利根郡みなかみ町:枯木沢、浜鍛冶屋沢 ・長崎県対馬市:佐須瀬、在家、枯木沢 これにより、当該区域内での一定の行為(土地の形状変更等)が制限されるとともに、国が直接「直轄砂防工事」を施行することとなります。

【ポイント】

近年激甚化する土砂災害から地域住民を守るため、特に重要性の高い箇所について国が直接整備を行うものです。指定された区域では、地形図上の座標(北緯・東経)に基づき厳密に管理が行われます。

肥料の登録の有効期間更新および登録外国生産業者の届出

農業生産の安全と品質を確保するため、肥料の登録情報の更新と、海外の生産拠点に関する情報の整理が行われました。

【根拠法令】

官報87ページ、農林水産省告示第30〜32号。肥料の品質の確保等に関する法律に基づく公示。

【変更点】

1. 登録の有効期間更新: 多数の肥料(例えば登録番号「生第106413号」等)について、法律に基づき登録の有効期間が延長されました。 2. 登録外国生産業者の住所変更: タイ王国の「Thai Central Chemical Public Company Limited」など、海外で肥料を生産する業者の法人所在地等の変更が届出されました。 3. 登録の失効: 有効期間の満了に伴い、一部の肥料の登録が失効したことが公示されました。

【ポイント】

農家が安心して肥料を使用できるよう、行政が常に最新の流通データを把握・管理していることを示す事務手続きです。私たちの食の安全を支える地道な管理体制の一環です。

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