国家公務員の給与改定(ベースアップ)に関連する法律の改正や、高次脳機能障害者への支援を強化するための新法制定、さらには「日本版DBS」の施行期日決定など、国民生活や社会基盤に直結する重要な法令が多数公布されました。特に給与法改正は、一般職だけでなく、特別職、国会議員、裁判官、検察官、防衛省職員など広範囲に及びます。
- 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律
- 特別職・国会議員・裁判官・検察官・防衛省職員等の給与法改正
- 高次脳機能障害者支援法
- 学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律(日本版DBS)の施行期日決定
- 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律施行令の一部改正
- その他の重要政令ニュース
- 省令・規則・告示ニュース
- 国家公務員給与の改定(一般職・特別職・防衛省職員等)
- 高次脳機能障害者支援法
- 日本版DBS(児童対象性暴力防止法)の施行期日決定
- 経済安全保障推進法に基づく特定重要物資の追加
- 犯罪被害財産支給手続の開始(特殊詐欺被害)
- その他の重要ニュース
一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律
公務員の人材確保と民間給与との格差是正を目的として、一般職の国家公務員の給与を改定します。月例給(俸給)の引き上げに加え、ボーナス(期末・勤勉手当)の支給月数が引き上げられます。また、初任給調整手当や通勤手当の拡充も行われます。
【根拠法令】
令和7年12月24日 法律第89号
【変更点】
1. 俸給表の改定
行政職、専門行政職、税務職、公安職、海事職、教育職、研究職、医療職、福祉職、専門スタッフ職、指定職の各俸給表について、全級全号俸で俸給月額が引き上げられました。若年層に重点を置きつつ、全体的なベースアップが図られています。
(例:行政職俸給表(一)1級1号俸 196,200円 → 改定等の詳細な数字は官報7ページ以降の別表参照 )
2. 諸手当の改定
期末手当・勤勉手当(ボーナス)の引上げ:
12月期の期末手当支給割合を「100分の125」から「100分の127.5」へ引き上げ(年間4.60月分へ)。
勤勉手当についても同様に引き上げが行われています。
初任給調整手当の拡充:
医師・歯科医師等に対する支給限度額を引き上げ(例:416,600円 → 417,600円)。
新たに「第二種初任給調整手当」を新設。採用時の給与水準が地域の民間賃金最低基準を下回る場合、その差額を支給します(令和8年4月1日施行)。
通勤手当の改定:
自動車等使用者の支給月額の上限等を引き上げ(例:片道使用距離に応じた支給額の改定)。
「駐車場等に係る通勤手当」を新設し、月額5,000円を上限に駐車場料金相当額を支給(令和8年4月1日施行)。
特定任期付職員等の給与:
俸給月額及び期末手当等の支給割合を改定。
【ポイント】
民間の賃上げ動向を反映し、公務員給与も引き上げられます。特に若年層の初任給改善や、医師などの専門職確保、マイカー通勤者の負担軽減(ガソリン代・駐車場代)に配慮した改正となっています。
特別職・国会議員・裁判官・検察官・防衛省職員等の給与法改正
一般職の給与改定に準じて、特別職(大臣等)、国会議員秘書、裁判官、検察官、防衛省職員の給与についても同様の改定が行われます。また、国会議員の歳費等に関する法律も一部改正されました。
【根拠法令】
特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律(法律第90号)
国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律(法律第91号)
国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律(法律第92号)
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律(法律第93号)
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律(法律第94号)
防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律(法律第95号)
【変更点】
特別職・裁判官・検察官・防衛省職員: 一般職と同様に、俸給(報酬)月額の引き上げと、期末・勤勉手当(ボーナス)の支給割合引き上げが行われます。
国会議員: 期末手当の支給割合について、現行の水準に据え置く措置が令和10年7月31日まで延長されます。
防衛省職員(自衛官含む):
自衛官俸給表の改定。
営外手当の月額を7,270円に改定。
「第二種初任給調整手当」の新設(令和8年4月1日施行)。
【ポイント】
公務員全体の給与水準が連動して引き上げられますが、国会議員の期末手当については据え置き措置が継続されます。自衛官についても一般職同様の処遇改善が図られています。
高次脳機能障害者支援法
高次脳機能障害者が適切な支援を受け、自立して社会参加できるよう、基本理念や国・自治体の責務を定めた新しい法律が制定されました。
【根拠法令】
令和7年12月24日 法律第96号
【ポイント】
定義: 「高次脳機能障害」を、疾病や事故による脳の器質的病変に起因する記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害等と定義しました。
基本的施策:
地域生活支援: 社会生活への適応訓練、住居の確保。
教育・就労支援: 学校での適切な配慮、就労機会の確保と定着支援。
相談体制: 専門的な相談に応じる「高次脳機能障害者支援センター」を都道府県が指定。
施行期日: 令和8年4月1日(一部の規定を除く)。
学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律(日本版DBS)の施行期日決定
いわゆる「日本版DBS」法の施行日が正式に決定しました。
【根拠法令】
施行期日政令(政令第439号)
施行令(政令第440号)
【ポイント】
施行期日: 令和8年(2026年)12月25日。
民間教育事業の要件: 対象となる民間事業者の要件として、技芸や知識の教授を行う者の人数を「3人以上」と定めました。
対象となる性犯罪(条例): 各都道府県の迷惑行為防止条例や青少年健全育成条例で定める痴漢や盗撮などの罪が「特定性犯罪」として対象になることが明記されました。
手数料: 認定を受けようとする者が納付する手数料は31,500円(電子申請は30,000円)。
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律施行令の一部改正
経済安全保障推進法に基づき、安定供給確保を図るべき「特定重要物資」が追加されました。
【根拠法令】
令和7年12月24日 政令第437号
【変更点】
特定重要物資として、以下の品目が新たに指定されました。
船舶の船体を構成する部品
磁気センサー
人工呼吸器
無人航空機(ドローン)の部品
人工衛星及びロケットの一定の部品
その他の重要政令ニュース
その他、国民生活や行政手続きに関わる重要な政令改正です。
司法試験受験手数料の値上げ
根拠: 政令第434号
司法試験及び予備試験の受験手数料が引き上げられます。一方で、オンライン(電子情報処理組織)による出願の手数料額も別途定められました。
子ども・子育て支援金への充当割合変更
根拠: 政令第438号
子どものための教育・保育給付費のうち、満3歳未満児相当分について、拠出金(事業主拠出金)をもって充てる割合を「1000分の208.6」としました。
年金制度改正の施行準備
根拠: 政令第441号、442号
社会経済の変化を踏まえた年金制度機能強化法の一部施行期日が「令和8年12月1日」と定められました。また、国民年金基金の掛金上限が月額6万8千円から7万5千円に引き上げられる等の改正が行われます。
著作権法施行令の一部改正
根拠: 政令第436号
著作権者不明等の場合における裁定制度の補償金等に関し、指定補償金管理機関が著作物等保護利用円滑化事業のために支出すべき額の算出方法が定められました。令和8年4月1日施行。
省令・規則・告示ニュース
実務的な詳細規定の変更です。
【人事院規則の改正】(給与法改正関連)
給与法の改正に伴い、以下の人事院規則が改正されました。
非常勤職員の給与(規則9-1): 給与改定に伴う規定整備。
宿日直手当(規則9-15): 支給限度額の引き上げ。
初任給調整手当(規則9-34): 支給額の改定。
期末・勤勉手当(規則9-40): 支給割合の詳細な規定。
特地勤務手当(規則9-55): 支給対象官署の級地区分の見直しなど。
本府省業務調整手当(規則9-123): 支給対象等の調整。
【国土交通省】船舶設備規程等の改正
根拠: 国土交通省令第121号、告示第1186号
船舶の安全性向上や国際基準への適合のため、船舶設備規程や船橋視界・窓の要件に関する告示が改正されました。極海域を航行する船舶の設備要件(探照灯、航海機器等)や、ロールオン・ロールオフ貨物区域の消火設備要件などが詳細に規定されています。
【厚生労働省】特定自主検査基準の告示
根拠: 厚生労働省告示第321号~323号
労働安全衛生法に基づき、以下の機械の特定自主検査基準が新たに告示されました。
車両系建設機械
不整地運搬車
動力プレス これに伴い、従来の自主検査指針は廃止されます。
国家公務員給与の改定(一般職・特別職・防衛省職員等)
民間給与との格差を是正するため、国家公務員の給与法が改正されました。一般職だけでなく、特別職、国会議員、裁判官、検察官、防衛省職員に至るまで、月例給およびボーナス(期末・勤勉手当)の引き上げが行われます。
【根拠法令】
法律第89号(一般職)、第90号(特別職)、第91号(国会議員)、第92号(秘書)、第93号(裁判官)、第94号(検察官)、第95号(防衛省職員)
【変更点】
俸給月額の引き上げ: 行政職俸給表をはじめとする各俸給表の月額が引き上げられました。若年層に重点を置きつつ全体的な改定が行われています。
ボーナスの増額: 12月期の期末手当・勤勉手当の支給月数が引き上げられました(例:期末手当 1.25月→1.275月)。
初任給調整手当の拡充: 医師・歯科医師等への支給限度額引き上げに加え、採用時の給与が地域民間賃金を下回る場合の「第二種初任給調整手当」が新設されました(令和8年4月施行)。
通勤手当の改善: 自動車等使用者の支給限度額引き上げや、月額5,000円を上限とする「駐車場等に係る通勤手当」の新設(令和8年4月施行)。
【ポイント】
国会議員の期末手当については、独自に支給割合を据え置く措置が令和10年7月まで延長されています 。また、自衛官についても一般職に準じた給与改定と、営外手当の月額改定(7,270円)が行われました 。
高次脳機能障害者支援法
事故や病気による脳の損傷で生じる「高次脳機能障害」のある人々への支援を強化するための新しい法律が制定されました。
【根拠法令】
法律第96号
【ポイント】
定義の明確化: 記憶障害、注意障害、社会的行動障害などを伴う高次脳機能障害を定義。
相談・支援体制: 都道府県による「高次脳機能障害者支援センター」の指定や、専門医療機関の確保。
切れ目のない支援: 医療から地域生活、就労・教育に至るまで一貫した支援体制の構築を国・自治体の責務としました。
施行: 令和8年4月1日より施行。
日本版DBS(児童対象性暴力防止法)の施行期日決定
子どもを性暴力から守るための仕組み、いわゆる「日本版DBS」法の施行日が正式に決定しました。
【根拠法令】
政令第439号(施行期日)、第440号(施行令)
【ポイント】
施行日: 令和8年(2026年)12月25日。
対象事業者: 認可保育所や学校だけでなく、学習塾やスポーツクラブなどの民間教育保育事業者(従事者3人以上などの要件あり)も認定の対象となります。
対象犯罪: 刑法の性犯罪に加え、各都道府県の迷惑行為防止条例(痴漢、盗撮など)違反も「特定性犯罪」として照会対象に含まれることが明記されました。
経済安全保障推進法に基づく特定重要物資の追加
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律施行令が改正され、安定供給を確保すべき物資が追加されました。
【根拠法令】
政令第437号
【変更点】
以下の品目が新たに「特定重要物資」として指定されました。
船舶の船体を構成する部品
磁気センサー
人工呼吸器
無人航空機(ドローン)の部品
人工衛星及びロケットの一定の部品
犯罪被害財産支給手続の開始(特殊詐欺被害)
特殊詐欺事件(オレオレ詐欺、キャッシュカード詐取など)の被害者に対し、犯人から没収した財産を給付金として支給する手続きが開始されました。
【根拠法令】
東京地方検察庁 公告
【ポイント】
事件概要: 令和6年11月上旬から12月中旬にかけて行われた、親族や銀行協会職員を騙る詐欺及び窃盗事件。
給付資金総額: 約412万円。
申請期間: 令和7年12月24日から令和8年1月30日まで。
問い合わせ先: 東京地方検察庁総務部犯罪被害財産支給手続担当(03-3592-5611)。
その他の重要ニュース
司法試験受験手数料等の改定
根拠: 政令第434号
司法試験及び予備試験の受験手数料が値上げされる一方、オンライン出願の手数料が別途設定されました。令和8年1月31日施行。
年金制度改正の施行準備
根拠: 政令第441号、第442号
確定拠出年金の拠出限度額の見直しや、国民年金基金の掛金上限引き上げ(月額6万8千円→7万5千円)などを含む改正法の施行日が「令和8年12月1日」等に決定しました。
弁護士の懲戒処分公告
根拠: 日本弁護士連合会 公告
以下の弁護士及び外国法事務弁護士に対する懲戒処分が公告されました。
田瀬英敏(第二東京弁護士会):戒告
マーカス・カズンズ・ジュニア(第一東京弁護士会所属 外国法事務弁護士):業務停止6月
船舶設備の安全性強化
根拠: 国土交通省令第121号
極海域を航行する船舶の設備要件や、ロールオン・ロールオフ貨物区域(車両甲板など)の消火設備要件が見直され、安全基準が強化されました。

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